学校やビルについている救助袋で垂直式のものの使い方・使用方法、操作方法を解説します。
救助袋とは
救助袋とは火災や地震によって普段使用している階段から避難が困難な場合に使用する避難器具の一種です。
読んで字のごとく袋状になっており、袋の中に人が入って避難します。
垂直に降りる垂直式と、斜めに降りる斜降式があります。
垂直式の特徴
・垂直に降りるので、省スペースでの避難が可能
・地上側での固定が不要なので1人でも使用、操作が可能
・袋の内部がらせん状になっておりスピードをコントロール可能(秒速4m以下)
建物外側の空間のスペースが小さくてすみ、1人でも使用できるので、近年主流になっているのは垂直式のタイプです。
ただし、垂直に降りるので恐怖心を感じる場合があるのと、長期間使用していないとらせん状の部分が収縮しており、避難に時間がかかる場合があります。しかし一度中に入ってしまえば外側は見えませんので恐怖心を感じませんし、1人が通過して避難すれば収縮していた袋が広がるので時間はかかりません。
斜降式の特徴
・斜めに降りるので、大きなスペースが必要
・地上側での固定が必要で、最低でも2人での使用、操作が必要
・滑り台式になっており、避難が容易
グラウンドや駐車場など建物の外側に大きなスペースが必要であり、使用・操作に2人以上が必要なことから、近年新規で設置されることはほとんどありませんが、古い建物や学校などではまだまだ現役なのが斜降式のタイプです。
地上側で固定する作業が必要ですが、一度設置してしまえば滑り台式なので簡単に連続してスムーズに避難することができます。
使い方・使用方法・操作方法
①平時の準備
常日頃から救助袋の周りには障害物が何もなく、操作するのに支障がない状態にしておいてください。また、格納箱に表示されている説明板は破損や劣化がなく、はっきりと読める状態を維持してください。
②窓を開ける
救助袋が設置されている場所のカーテンを開けて、窓を開けてください。
カーテンも窓もしっかりと全開しないと、救助袋本体に引っ掛かってしまいますので注意してください。
③格納箱を取り外す
救助袋本体を保護している格納箱を取り外します。キャスターがついているのでスライドすれば簡単に外れます。
④固定されているベルトを外す
救助袋本体を縛っているベルトを外します。
【引く】と書いてあるベルトを引っ張るとベルトが緩むので、ベルトを外してください。
⑤誘導ロープを投げ落とす
袋上部に置いてある誘導ロープを窓の外へ落としてください。救助袋を操作できる人員が2人以上いるならば、外の地盤面で誘導ロープを引っ張り救助袋を降ろすのを補助します。
⑥建物外へ袋を降ろす
必ず誘導ロープが付いている先端から順番に窓の外へ降ろしてください。
袋の先端が降ろした時の最下部です。
⑥骨組みを起こす
骨組みを全体を起こします。手前から起こしてしまうと非常に起こしにくくなってしまいますので、左の画像のように一番奥の骨組みから起こしてください。
重量がかなりありますので、十分に注意してください。
次に骨組みをもう一段階起こします。
袋の中に手を入れ、折りたたまれた骨組みを起こしてください。
右の画像のようにトンネルのような空間ができれば設置は完了です。
外から見るとこのような状態になっています。垂直に降下するように見えますが、内部はらせん構造になっており、スピードが出ないようになっています。(秒速4m以下)
⑦避難を開始する
避難を開始する時には必ず足から袋の内部に入ってください。頭から入ってしまうと降下できなくなってしまいます。また、靴やスリッパを履いていると摩擦が起きて非常に降下しにくくなるので、脱いで靴下か裸足で避難してください。
脱いだ靴やスリッパはあらかじめ窓の外に放り投げておくと、降下したあとに再び履くことができます。
袋の垂直部分に足から降下を開始します。袋内部に入ると外が見えないので、案外恐怖は感じません。
袋の最下部は一部だけが開いており、そこから足を出して脱出します。この時、地盤面にサポートする人がいるとスムーズに脱出できます。
救助袋は1人が外に脱出したら、次の人が袋の内部に入り避難を開始してください。一気に複数の人が袋の内部に入ると詰まってしまった場合に脱出できなくなってしまいます。
また、降下時に着ている服が摩擦でめくれ上がってしまうことがあります。特に女性の方は注意していただき、上着の裾をズボンの中に入れておくなどしておいてください。スカートを着用している場合はほぼ確実にめくれ上がって下着が見えてしまうので、訓練などで使う時はあらかじめズボンを着用するようにしてください。
これで避難は完了です。火災が起きている建物から速やかに離れてください。
戻し方
戻し方は上記で設置したのと逆の順序で⑥から②を行ってください。ただし、戻す方が専門的な知識と大きな力を必要としますので、出来るだけメンテナンス業者などに連絡し手伝ってもらってください。
実際の火災で使用した時には袋に損傷がないかなどをメンテナンス業者に点検してもらいましょう。
火事も地震もいつ発生するか分からない。だから常日頃から救助袋の使い方をしっかりと把握しておこう!